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あるべき姿
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1 外から見えるムダ

第5回で、職員から無駄と思われるものを書き出してもらって、まずそれらの廃止をやってみることを述べました。

普段から職員がムダと思っていながら廃止をなかなか言い出せない仕事、例えば、話せば済む程度の内容なのに時間をかけて資料を作る、情報を流せば済むものを職員を集めて会議を開くなど、多数あると思います。

この仕事が価値を生むかどうは、職員がいちばん敏感に感じていると思います。上司、管理職になれば、何かあったときに困らないか、なぜそういう仕事をやめたのか聞かれたときに困らないか、といった他事考慮が働き、最小の時間で最大の価値を生む仕事の仕方=国民・住民が求めていること、とはなりません。

時間がかかっても、後で自分に火の粉がかからない方を選択します。

無くしたときに廃止したときに問題が出たら困るという思いが先にたって、取捨選択ができないところが多分にあります。

そのため、資料は毎年同じものを作り続けていきますし、前に開いた会議も毎年同じ時期に開催し続けます。

民間のように景気循環があって、不況時には人も仕事も残業も減らすということがあれば、常に業務の見直しが迫られるのですが、役所の場合、見直すという機会は極めて少ないのです。

それゆえ、意図的に業務量を3割減らすというように目標を立てて取り組む必要があります。

まず、3割減らす、という目標を立ててやってみることです。とにかく3割達成がノルマですから、大胆に切り込みます。

それでも迷うものは代替方法を考える、回数を減らす、簡素化を図る等によって3割に近づこうとします。

実は、このステップが重要なのです。

2 外から視えないむだ

目標のムダ3割削減を達成できたところは、やれば結構ムダ取りが出来ると自信を持ちます。

外から見えたムダだけではなく、こういうものも見直せるんじゃないかという視点が職員の中に生まれてきます。

逆に、3割を達成できなかったところは、外から見えるものだけでは難しい、もっと中に切り込まなければムダは取れないと思うようになります。

いずれにしても、もっとやらなければいけないと思うようになります。

さらに展開するためには、業務のフローチャートを作って、プロセスを分析します。

業務の目的、使命の明確化(業務整理シート)誰のための、何のための仕事かーそれで価値を生んでいるかという視点業務の視える化(業務フロー図)実際に、どう行われているか、各プロセスの処理にいくら時間をかけているか、現地現物で調査把握する。

各プロセスの改善案の検討廃止、統合化、簡素化、IT化等改善案の実施(改善主体、改善項目、改善内容、改善工程等)フオローアップ

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3 あるべき姿から観える無駄=イノベーション

(1) 事務管理部門の業務革新は、最終段階として、あるべき姿を描き、それに向かって行政システム自体を革新していくものでなければなりません。

IMS(いわてマネージメントシステム)においては、残念ながら2の外から視えないむだ取りの途中レベルで止まっています。

それゆえ、3の段階のあるべき姿というものが具体的にどういうものか示すことはできません。

(2) しかし、事務管理部門におけるプロセス改善に取り組む中で、行政システムのイノベーションは見えてきました。

再三述べてきましたが、事務管理部門の問題点を挙げてみます。

それぞれの自治体で問題点は異なると思いますので、自ら業務革新の必要性についてもう一度検証することによって、あるべき姿を探っていただきたいと思います。

事務管理部門における問題点事務管理部門の職員は、特殊なものを除けば他の業務も担える(その意味では多能工化している)が、他の係、課の業務を手伝うという組織文化がありません。

それゆえ時季によっては暇な無駄の多い大きな組織になっています。他の係、課、部の仕事に対し意見を言う文化がありません。

また、言えば、口出しするなという組織風土です。

住民・国民の課題に対し、協働して解決に当たろうという意識が薄弱です。

他の係、課、部の情報が少ない。共有されていません。

ムダを取ることはリストラという誤解があって、新しい機能を強化することという認識がありません。

期間内に、予算内、定数内で行えば良しとし、ムダ等見直す動機付けが希薄です。カイゼンは暇なときにやるものだという組織風土であり、イノベーションに取り組む組織風土がありません。コスト意識がありません。

業務を行うに当たって、期限という概念だけで、この仕事はどれくらいの時間をかけてやるという所要時間(リードタイム)の概念がありません。

事務管理部門の場合仕事の管理は本人に任され、本人はその仕事にかける時間を自分で決めています。全体にリードタイムが長いのです。

予算の編成や人事に半年近くかけており、時間がかかり過ぎています。

仕事のでき具合も担当者が決めているといって過言ではありません。

担当者の案に対し、間違いを正すことに力点が置かれ、上司も担当以外の職員も、他の職員の仕事には言及することが少なく、何がベストかという議論が十分とはいえない。

出てきた問題を解決するのが仕事となっており、課題を解決する仕事が行われていません。

やっつけ仕事になっており、どうすればより質の高い業務遂行になるかという取組みが弱い。

組織が細分化されているため、政策立案に携わる職員も少人数化しています。上級職といえども、当たり外れがあり、課長や担当者がその政策に十分詳しい知識識見を持っているとは限りません。

専門的な知見を持つ職員を集めて取り組むといった全庁的な取り組みが弱く、そのため、政策立案能力が低下していると思われます。

現地現物から問題点を探り、政策を作るということが弱くなっています。

情報の精確な把握に力を入れないと対応する政策が打てず、行政に対する信頼は失墜します。

管理職が重要な案件にかける時間が少なく、また首長、部局長も十分な議論をせずに報告を了承することに近い実態があります。

優秀な職員が入庁しているという思いがあって、職員の育成が十分に行われていません。

知識や語学などの研修に傾いており、現場の実態を把握し対策を考えるという仕事の仕方が十分に身についていません。

管理(3) 行政の事務管理部門には、(2)で述べたような問題があると思います。

それが結局、コストはかかっているが住民・国民の求める施策が打たれていない原因なのです。

とすれば、今後、行政はこのような問題を根本から変えていく必要があります。それが、あるべき姿であり、我々が成し遂げなければならない行政の業務革新なのです。

4 あるべき姿

我々が成し遂げなければならない行政の業務革新即ちあるべき姿については、それぞれの自治体が問題点を探り、その解決を目標に掲げて取り組んでいただきたいと思います。

ここでは、共通と思われ、問題意識を共有していただきたいものについて、掲げてみます。

1)まず、行政組織の肥大化を防ぎ、効率性を高めるためには、多忙な中でお互い手伝いあう組織風土を作ることです。

組織の基本は維持しながらも、工場現場における多能工と同様に、忙しい職場に自ら手伝いにいくことができるフレキシブルな組織経営が求められます。

住民・国民から負託されたすべての問題は、ある課ある部の問題ではありません。

全職員に負託されたものです。

事務部門同士では多能工化せずとも簡単に手伝うことが可能です。ラテラルサービスとしてすでに実施している自治体もあります。仕事はあるのです。偏っているだけです。

(2) 次に、役所の事務管理部門では、競争する相手がおらず業務の効率性を比較する仕組みもないため、コストを下げようとか、むだを取ろうという発想がほとんど出てきません。制約するものは予算しかないので予算の範囲でやればよいと考えます。

職員は、予算が8割しかない場合、単価を減らす、作業効率を高める等して8割の予算で10割の仕事をしようとはなかなか考えません。

首長は、職員から2割の事業、施策をやめざるを得ないと聞いて了解せず、その前に経費を2割カットして全部を実現する方法を考えるよう指示すべきです。

予算が不足するときがチャンスなのです。

いかにムダを削ぐか考える絶好の機会なのです。

首長はぜひ、減らされる予算の中で同じレベルの仕事ができないか工夫するように厳しく求めて欲しいと思います。

そして、工夫した職員を高く評価する仕組みにすることです。

それによって職員は、仕事をカイゼンすることが仕事と認識します。

カイゼンは予算を最大限効率的に使うことであり、また住民の負担を軽減することだと理屈で言うより、評価し表彰した方が職員には早く伝わります。

(3) 次に、仕事に要する時間を管理し、短縮しなければなりません。

まず外から見えるムダを取る。

5S。プロセス改善。その上で、目に視 えにくい時間のむだ取りを行わねばなりません。役所の事務管理部門では、時間でやるという概念が極めて希薄ですから、同じ仕事を担当しても人によって3日でやる者もいれば1週間かかる者もいます。

あまりに担当者の裁量に任されており、管理者による仕事の管理が十分になされていません。

例えば、役所への許認可を申請した場合、標準処理日数以内には出してもらえるはずです。

しかし、標準処理日数は担当者が普通にやったときに かかる日数を処理日数としていますから、住民・国民が急いでいる場合等を考慮したものではありません。

いくら急いで欲しくても、その日数、期間の中では急いでくれるとは限りません。

運が悪ければ担当者が(休暇をとって休んで)期限まで時間を最大限使ってやるかもしれません。

しかし、このような仕事のやり方は、国民からの信託で成り立っている戦後民主主義国家では変わらなければならなかったことです。

行政サービスをできるだけ早く提供するという姿勢が求められるのです。

最少の時間で処理をするという仕組みができれば、外に対してもできる限り早い処理となります。

我々は、競争がなくても最大限速やかに住民にサービスを届けられるよう業務革新しなければなりません。

一つひとつの動作にかける時間を測る必要はないとしても、時間はコストという意識で、行政における所要時間(リードタイム)をいかにして減らしていくかが求められるのです。

(4) 次に、多くの自治体は、予算編成や定期人事異動作業に3、4ヶ月から半年かけています。

予算についていえば、各課各部局からの要求を財政課が査定し、部局長等が査定し、最後に首長が査定して予算の内示となります。

ここでは予算査定に要する時間、コストについて述べたいと思います。

国においては9月からおよそ4ヶ月、地方自治体においても10月から4ヶ月間、予算査定と称して深夜まで予算分捕りごっこをしているのです。

およそ組織の職員の1割から2割が、4ヶ月もの間、内部事務にとられているのです。

それだけではありません。予算当局に予算要求を出すために、国においては8月末までの概算要求に向けて、地方自治体においては10月~11月の要求期限に向けて、6、7月頃から翌年度の予算要求に向けて作業を始めるのです。

組織の1割を超える職員が、1年の半分以上を予算要求という内向きの仕事をしているのです。

この間、どういう価値を住民・国民に提供しているのでしょうか?

さらに、当該年度の事業の成果もわからないうちに、もう翌年度の予算要求に着手するのです。

常識的に考えて、精度の高い要求になるでしょうか。

結局、施策を実施した結果がどうだったかという前に、もう次の予算要求の作業に入りますから、予算主義になってしまい、事業の評価が十分になされ、それを踏まえて次の施策がとられるというPDCAサイクルとは程遠いものになっています。

つまり、膨大な時間とコストをかけてはいるが、十分な評価なしに予算要求に走っているため、その精度や成果は、はじめから期待できない仕組みになっているということです。

それゆえ、予算査定の中で政策を決定するというやり方を廃し、政策の決定は別の部門で行う必要があります。

今後は、事業を行う部門を支援するための予算システムや人事システムの構築が必要となります。

人事課や財政課にある従来型の自分たちが予算、施策を決める、人事を決めるという発想から、基幹システムの施策の展開をどうやって支援していくか、どういう方法がコストパフオ―マンスが高いか、事業の展開に求められている人材をどう把握して投入するか等、予算や人事のシステムについて、これまでとは違う支援システムとして業務革新を図る必要があります。

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